サロンコンサート満員御礼
本日は、駄知旧車館のオープン内覧会に続いて、第2回目のサロンコンサートを行いました。あいにく小雨の降る天候でしたが、遠方からも多数お運びいただきまして、たいへん盛大な催しになりました。演奏者の皆様、ご来場のお客様、関係者の皆様方に心からお礼申し上げます。
早速プログラムをご紹介します。
まずは、第一部。
シューベルト:幻想曲ハ長調 「さすらい人」 D760
第1楽章 アレグロ・コン・フォーコ・マ・ノン・トロッポ
第2楽章 アダージョ
第3楽章 プレスト
第4楽章 アレグロ
良盛礼(ややもり あや)さんによるピアノ独奏で開演です。可憐な見かけとはかけ離れた力強い演奏で、20分を超える難曲を一気に聴かせてくれました。さすが、先日行われたウィーン国立音楽院マスタークラスコンクールにて1位を獲得したピアニスト。面目躍如の演奏でした。
さすらい人というのは、シューベルトの歌曲の主題を用いていることに由来しますが、シューベルトの同名の歌曲は二曲あり、さらに有名な歌曲集「冬の旅」などともイメージがリンクします。当時の文学や音楽、わけてもシューベルトが共感するテーマが「孤独な一人旅」であったのでしょうか。いずれにしても抒情的な美しい調べや、情熱的な歌にあふれた名曲ですが、作曲者自身がうまく弾けずに「悪魔にでも弾かせよ」と言ったという逸話まであるそうです。
15分ほどの休憩をはさんで、第二部。今度は弦楽四重奏によるオムニバス形式のコンサートです。演奏者は、ご自分と同年生まれの SAAB 96 を当社でレストアしていただいたこともあるほど車好きな、高橋律也さんが第一ヴァイオリンをリード。(ちなみにこの SAAB 96 は当日旧車館内に特別展示させていただきました)奥様の鳥居愛子さんが第二ヴァイオリン、ヴィオラには為貝香織さん、チェロには岩田彩子さんというメンバー。もちろん息の合った素晴らしいアンサンブルでしたが、意外にもご夫婦で四重奏をするのは(独身時代を除くと)初めてということでした。良い機会になったとしたら、主催者としても嬉しいです。
まずは、イタリア旅行から帰ってきた若干16歳のモーツァルトの手になる軽快な四重奏曲から。
モーツァルト:ディベルティメント ニ長調 KV136
第1楽章 アレグロ
第2楽章 アンダンテ
第3楽章 プレスト
この曲から始まる三曲は、ザルツブルク・シンフォニーとも呼ばれ、モーツァルトの屈託のない明るい部分がよく出ているように思います。このディベルティメントは中でも最も有名で、誰もが一度は聴いたことがあるでしょう。
時代は一気に下って、当旧車館と同じ昭和の時代へ。
懐かしの歌ヒットメドレー (高原列車は行く—鉄腕アトム—すみれの花咲く頃—月光仮面は誰でしょう—ここに幸あり—銀座カンカン娘)
本当に懐かしいメロディー。クルマとのコラボレーションで、レトロな世界に浸ることができました。続いて
坂本九メドレー (明日があるさ—見上げてごらん夜の星を—上を向いて歩こう)
時代と国境を越えて歌われる名曲です。弦楽四重奏で聴くとその美しさに圧倒されます。「見上げてごらん夜の星を」では、涙が出そうな方も多かったのではないでしょうか。そして、今回極めつけの企画、
AKB48・ヒットメドレー (ヘビーローテーション—桜の栞・Everyday, カチューシャ—会いたかった)です。正直、聴いてみるまで、本当に大丈夫?という感じがしたのも事実。でもいい意味で完全に予想を裏切られました。編曲も素晴らしくて、完全に芸術作品に昇華されていて、クラシック好きの方でも存分にお楽しみいただけたのではないでしょうか。
当館収蔵車が最も喜んだであろうと思われるのは、
Swing Jazz メドレー (シング・シング・シング—A 列車で行こう—イン・ザ・ムード)です。当館のメルセデスとパンサーも小躍りし始めるのではないかと思ったほどです。時代が一致したコラボレーションという感じ。こちらもSwing感あふれる名演奏でした。
締めは、電子チェンバロも加わって、最も有名なバロック曲のひとつ、
パッヘルベル:カノン
です。こちらはポップスなどにもアレンジされることが多いので、老若男女、癒されていただいたのではないでしょうか。
ここで花束贈呈があり、これでプログラムはすべておしまい、の予定でしたが、鳴り止まぬ拍手にこたえてのアンコール曲はなんと、
ピアソラ:リベルタンゴ
ではありませんか。ピアソラの曲は本家のタンゴを凌ぐほどの人気ぶりですが、その中でも一度聴いたら忘れられない名曲だと思います。
閉演を前に、次回開催を睨んで、お客様に眼を閉じて答えていただいた挙手アンケートによると、
1.クラシックをもっと充実して!
2.今回のような折衷がいい!
3.ポップスをもっと充実して!
の三択で、圧倒的に2の支持者が多い結果となりました。それだけ、今回のオムニバスは皆様に喜んでいただけたのではないかと、主催者も胸をなでおろしております。
次回も、時代を超えて「いいものはいい!」をモットーに、皆様に喜ばれるイベントを企画したいと思います。
改めまして、皆様に心よりお礼申し上げます。